浴衣は右・左どっちが前?
右前になった理由とスマホ時代の注意点
更新日: 2025.8.8
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夏祭りや花火大会などで浴衣を着る方も多いのではないでしょうか。しかしその際に普段着物を着ていないために、「左前」と「右前」のどっちが正しいのか忘れてしまって悩んだこともあると思います。
今回は浴衣を着る際は右と左のどっちが前なのか?また、そう着るようになった理由やスマートフォンで浴衣を自撮りする際の注意点などを併せてご紹介します。
浴衣はどっちが前?そもそも「前」とは?
浴衣に限らず、着物は「右前(みぎまえ)」で合わせるのが基本です。しかし、右前と言われても、結局どちら側を先に着れば良いのかあいまいな方も多いのではないでしょうか。
和装の「前」とは自分から見て手前にあることを指します。言い換えれば、先に体に当てるほうが「前」です。右前なら自分から見て右側が手前(下)になるように着ることです。
わかりやすい右前の覚え方
先に「前」について説明をしましたが、右前は「右側が前にある」と勘違いしやすいため、「もっとわかりやすい覚え方はないか?」と思う方もいるのではないでしょうか。
わかりやすい覚え方としては正面から見てアルファベット小文字の「y」になるように着る方法があります。また、胸もとに右手が入りやすいほうと覚える方法でも大丈夫です。
その他としては女性の洋服は左前ですが、和装は反対の右前と覚える方法もあります。これらの中でしっくりくるものを覚えておけば間違いにくくなります。
浴衣が右前の理由
なぜ浴衣を含む和装では左前がNGで、右前にしなければならないのでしょうか。
和装には右前にする理由があります。
左前は死装束(しにしょうぞく)
大きな理由として一般的に日本では死装束に左前を使っていることが挙げられます。死装束を左前にするのは、この世とあの世は逆の世界だという考え方からです。
また、昔の貴人が左前で着物を着ていたことが理由とする説もあります。これは死は神仏に近づくことと考えられていたため、死んだら貴人と同じ左前にして良いという考え方です。
左前は亡くなった人を葬る際の着せ方であることから、生きている人が左前で浴衣を着ると縁起が悪いとされています。そのイメージから経営状態が思わしくないことや落ち目になることを指す「左前になる」という言葉も生まれました。
着物は右利き向けに作られている
こちらの説は実用性に基づいたものです。先ほど、右手が胸もとに入りやすいほうを右前と覚えると良いと説明しましたが、右利きの方が胸もとに手を入れやすいように右前になったとする説もあります。ほかにも、浴衣は右前で着ることが前提になっているため、左前で着ると柄が見えなくなることがあります。
右前になったのはいつから?
和装はいつから右前で着るようになったのでしょうか。
先ほども少し説明しましたが、昔は左前で着物が着られていた時代があります。
古代の人々は左前で着物を着ていました。その証拠に古墳時代の人物埴輪は左前の服装ですし、飛鳥時代末から奈良時代初めの頃に描かれた高松塚古墳の壁画の女性も左前で着物を着ています。
これは当時の中国の人々が左前で着物を着ていたので、その習慣が日本に伝わったためです。しかし、左前に着るのはもともと大陸の北方民族の習慣であったことから、北方民族を区別するために中国は左前の習慣を右前に改めたと言われています。
やがて日本にも右前の習慣が伝わり、奈良時代の719年には右前に改める命令が出されました。この命令以降は右前が一般的になったと言われています。
男女で浴衣の「前」は変わる?
洋服では男性が右前、女性が左前になっているため、浴衣も男女で「前」が逆になるのではないかと思っている方がいるかもしれません。しかし、浴衣は男女で「前」が変わることはありません。
洋服の「前」が男女で逆になる理由として昔はボタンのある服が非常に高価で、身分のある人しか着られなかったことと関係しています。
身分の高い女性はコルセットを着けているために一人で洋服を着られず、使用人に着させてもらっていました。そのため、使用人がボタンをとめやすいよう左前になったと言われています。一方で男性は自分で洋服を着るため、右手でボタンをとめやすい右前になったと言われています。
ほかにも中世の騎士が左腰に吊るした剣を抜く際に外衣をめくりやすくするために男性は右前になったという説や、赤ん坊に授乳をする際に右利きの女性がボタンを外しやすくするために左前になったという説、馬に横向きで乗った際に風が入りにくくするため女性は左前になったとする説などもあります。
浴衣を着る際に気を付けたいその他のマナー
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浴衣を着る際には左前で着ないこと以外に気を付けたいマナーがいくつかあります。
ここからは、注意した方がいいマナーを3つご紹介します。
和装用の肌着を着る
浴衣を着るときは肌着の着用をおすすめします。肌着を着ないと浴衣が肌にくっついて着崩れすることがあるからです。
肌着は洋装用ではなく和装用肌着を選んでください。洋装と異なり和装では寸胴に見せたほうがきれいなのですが、洋装用の肌着では寸胴に見えにくいためです。
また、キャミソールなどで代用していると浴衣の衿もとや後衿から見えることがあり、見苦しくなる可能性がありますので和装用の肌着が推奨される理由の一つです。
動きを小さく丁寧にする
浴衣を着て大きな動きをすると着崩れやすくなります。そのため、浴衣を着たときは動きを小さく丁寧にするのがポイントです。
例えば、歩幅は裾が乱れないように10cmくらいを意識すると着崩れしにくくなります。外股で歩くと裾が広がりやすくなるため、内股気味に歩くのがおすすめです。また、右手で裾を押さえながら歩くときれいに見えます。
階段を上り下りする際は体を少し斜めにすると、足を大きく開かなくても上り下りできます。また、右手で裾を軽く持ち上げるのもおすすめです。ただし、持ち上げすぎると地肌が見えるので気を付けてください。
車に乗るときは、お尻から入ると着崩れせず美しく見えます。この方法は洋服のときでも使えますから、ぜひ試してみてください。
少しでも楽に歩きたい場合は着付けた後に裾割りをします。裾割りとは足を肩幅に開いて軽く2~3回屈伸することです。裾まわりがゆるくなるため、動きやすくなります。
自撮りで左前に見えることがある
自撮りをすると画像が鏡のように左右反転する場合があります。その場合、正しく右前で浴衣を着ていても、左前で着ているような画像になってしまいます。気付かずにそのままSNSに投稿すると縁起が悪いと誤解される可能性もありますので、ご注意を。
今のカメラ機能は自撮り画像を左右反転させないように設定できるものもあります。画像が左前になっていたときは、設定を見直してみてください。左右反転の設定ができない機種の場合は標準の写真アプリや編集アプリなどで修正できます。浴衣姿を自撮りする際には、どのように写っているか良く確認したほうがよさそうです。
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まとめ
浴衣を含む和装は右前が基本です。左前にしてはいけないのは死装束が左前であることなどが理由とされています。右前がどういう合わせか覚えにくい場合は「正面から見てアルファベットの小文字のyに見えるのが右前」など、自分でイメージしやすい方法で覚えるのがおすすめです。
今回ご紹介した右前の覚え方や浴衣を着る際の注意点などを参考に浴衣で夏を楽しんでください。