スーツと喪服の違いとは?
礼服との関係と喪服の選び方やマナーをご紹介
更新日: 2025.2.28
※イメージです。
冠婚葬祭の中でも、特に服装に気を遣うのが葬儀や法事などの弔事です。こうした場にふさわしい装いとして用意されるのが喪服ですが、見た目が似ているスーツとの違いをあまり理解できていない方も多いかもしれません。
今回はスーツと喪服の違いや、喪服と礼服の関係、喪服選びのポイントとマナーをご紹介します。
スーツと喪服の違いとは?
喪服とはお通夜や葬儀、法事などの弔事で着るための装いです。見た目は黒のスーツに似ていることから、普段使っているスーツで代用しても良いのではないかと考えている方もいるのではないでしょうか。しかし、喪服とスーツには明確な違いがありますので、弔事のシーンでは着用できないケースがあります。
ここからは色味、形、合わせるアイテムの3つのポイントに分けて、その違いをご紹介します。
黒の色味や光沢
一般的なビジネススーツの黒は ややグレーがかった色味や光沢のある生地を使っています。
一方で喪服は特殊な染め方をしているため、漆黒や墨黒と表現される深いブラックになっています。また、生地は光を反射しにくく、光沢のない素材が使われているのも特徴です。これにより、落ち着きと厳粛さが感じられる装いとなっています。
形やシルエット
ビジネススーツは日常的に着用されることが多く、定期的に買い替える方も多いため、体型にフィットするようなスリムなデザインが主流です。
一方で喪服はビジネススーツのように頻繁に着用するものではないため、数年間着用できるようにゆったりとしたシルエットが一般的です。
合わせるアイテムの色味
スーツと喪服で合わせる小物の基本的な種類はシャツ、ネクタイ、ベルト、靴など、同じです。
しかし、スーツの場合はシーンや個人の好みに応じて、色や柄のあるアイテムを比較的自由に選べます。一方、喪服では白のシャツに、黒のネクタイ・ベルト・靴を合わせるのが基本です。
柄物や色の付いたアイテムはマナー違反となるため、事前に喪服に必要なアイテムを一式そろえておくと安心です。
喪服と礼服の違いとは?
喪服を使用するシーンでもう一つ悩むのが、礼服との違いについてです。どちらも格式のある場で着用する服ですが、その役割や着用シーンには明確な違いがあります。
礼服とは
礼服とは冠婚葬祭の場で着用する服装を指します。場に応じた装いをすることで、相手や式典に対する敬意を表す意味合いが込められています。
礼服は「フォーマルウェア」とも呼ばれ、次のように格式によって種類が分かれています。
- 正礼装:モーニングコート、燕尾服など
- 準礼装:ディレクターズスーツ、タキシードなど
- 略礼装:ブラックスーツ、ダークスーツなど
このように礼服と一口に言っても、着用する場面や格式に応じた使い分けが必要です。
喪服は礼服の種類の一つ
喪服は冠婚葬祭のうち「葬」に該当する場で着る礼服です。喪服と礼服の大きな違いは着用シーンです。喪服は弔事に限って着用し、慶事での着用は不適切とされています。
一方、礼服は冠婚葬祭全般で着用する正装で、結婚式や成人式などの慶事にも着用できます。
例えば、光沢のない礼服のブラックスーツはマナーを押さえていれば喪服として使うことも可能です。
葬儀で着る喪服の種類
喪服は礼服の一種ですが、その中にも格式の違いによって次の3つの階層があります。
それぞれの特徴や着用時の注意点をご紹介します。
正喪服
喪服の中で最も格式が高い装いが「正喪服」です。主に喪主や3親等以内の近い親族が着用します。
洋装であれば、男性はモーニングコート、女性はブラックフォーマルが一般的です。和装の場合には男性は紋付き羽織袴を、女性は染め抜き五つ紋の黒無地の着物、いわゆる黒喪服を着用します。
いずれも厳粛な場にふさわしい装いで、儀式の中心となる立場の方が選ぶ服装です。
準喪服
準喪服は正喪服に次ぐ格式で3親等以外の親族や葬儀に参列する多くの方が着用する喪服です。
最近では喪主や親族であっても準喪服を選ぶケースが増えているケースも多く、より実用的な選択肢となっています。また、一周忌や三回忌など法要の場でも準喪服が多く着用されています。
準喪服は男性であれば光沢のない黒のブラックスーツ、女性はシンプルで落ち着いたデザインのブラックフォーマルが一般的です。
略喪服(平服)
略喪服は お通夜に急ぎ駆け付ける場合や葬式よりもカジュアルなお別れ会、三回忌以降の法事などで着用されます。また、正式な喪服を持っていない学生や小さなお子様の装い(例えば学生服)も略喪服に当てはまります。
服装は黒や濃紺、ダークグレーなど落ち着いた色味のビジネススーツが中心となりますが、黒を選んでおくのが無難です。女性の場合は黒の無地ワンピースなどでも構いません。
葬儀で喪服ではなくスーツを着るのはOK?
※イメージです。
一見すると、黒のビジネススーツであれば喪服の代用になると思われがちですが、葬儀での着用はマナー違反です。喪服が深く染められた黒と光沢のない素材を使用している理由は、故人への敬意や悲しみに寄り添う意味が込められています。
それに対して、ビジネススーツの黒はややグレーがかっている仕上がりで、生地に光沢があるため、葬儀の場にはふさわしくありません。たとえ黒の無地であっても、葬儀でのスーツ着用は避け、きちんとした喪服を用意することが望ましいです。
葬儀ではなくお通夜の場合
葬儀に先立って行なわれるお通夜では略喪服を着用してもかまわない場合が多くあります。また、略喪服での参列は「突然の訃報に接して喪服を準備する間もなく駆け付けた」ことを示すとも言われています。
反対に喪服でお通夜に参列すると「故人が亡くなることを予想して喪服を準備していた」と誤解を受け取られかねません。
そのため、あえて喪服を避けることが遺族への配慮になる場合もあります。ただし、地域によってはお通夜でも喪服の着用を求められることがあるため、事前に確認しておきましょう。
ビジネススーツでお通夜に参列する場合はダークカラーであることに加え、カジュアルな装いやアクセサリーの着用を避ける必要があります。
女性の場合はスカート丈が短すぎないように注意し、露出を控えた服装を選びます。また、急な参列でも黒色のストッキングを着用することが基本的なマナーです。
喪服を持っていないときはどうする?
突然の訃報に接し、喪服を用意できていない場合に対してはいくつかの対処法があります。
ここからは3つの方法をご紹介します。
喪服のレンタルサービスを活用する
1つ目は葬儀会社や貸衣装店、または喪服専門のレンタルサービスを利用して、喪服を準備する方法です。葬儀会社運営などの弔事に特化したサービスであれば、マナーに適した装いを整えられる安心感があります。
加えて、葬儀の進行や立ち振る舞いなど服装以外のマナーについてアドバイスを得ることもできます。
ただし、年末年始や深夜などの対応が難しい時期や時間帯があるため、利用前に確認しましょう。また、体型や希望に合うサイズの在庫がない場合もあるので、早めの手配がおすすめです。
家族や友人に借りる
2つ目は身近にいる家族や親戚、友人から喪服を借りる方法です。タイミングが合えばすぐに用意でき、費用もかからない点がメリットです。
ただし、喪服のサイズ感には注意が必要です。サイズが合っていない喪服はだらしない印象に映るため、自分と似た体型の方が身近にいないと借りるのは難しいでしょう。また、借りる際も試着させてもらうことが理想的です。
量販店・スーツ専門店の即日お直し可能な店などで購入する
3つ目は量販店や全国展開しているスーツ専門店で購入する方法です。ショッピングモール内でも販売しているので、気軽に購入できます。また、採寸や試着を行ない、自分の体型に合った喪服を選ぶことも可能です。
一度購入した喪服は買い替えずに長期間使用するケースが多いため、サイズ選びは慎重に行なうことが大切です。
自分に合うサイズが店頭にあるか不安な場合は事前に確認してから訪問すると安心です。また、即日で裾上げなどのお直しに対応してくれる店舗なら、すぐに喪服を受け取れて重宝します。
ただし、店頭にある在庫からの選択となるため、希望のデザインやサイズがない場合もあります。
喪服を選ぶ際の3つのポイント
喪服を選ぶ際にはデザインや見た目だけでなく、長く着用できるか?快適に過ごせるか?などの実用面を重視することも大切です。
ここからは喪服選びで押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。
① 少し余裕のあるサイズ感
喪服は一般的なスーツのようにスリムなシルエットを重視するのではなく、少しゆとりのある着心地が標準とされています。体にぴったり合ったものを選ぶと、加齢や体型の変化に対応できず、数年後に着られなくなってしまう可能性があるためです。
大きすぎてだらしなく見えるのは避けたいところですが、多少の体型の変化に対応できるサイズを選んでおくと、長く着用できて重宝します。
② マナーを守ったカラーと着心地の良い素材
先述のとおり、喪服は漆黒で光沢のないものが原則とされているので、マナーを守った色や素材選びが必須です。
また、葬儀の場では長時間着用することが多く、特に近親者の場合は準備や参列を含めて一日を通して着ることもあります。そのため、ストレッチ性のある素材や長時間でも負担の少ない着心地の良いものを選ぶことが重要です。
シワになりにくい防シワ素材や、自宅で洗濯できるタイプは扱いやすさの面でも優れています。
③ 夏用・冬用があると便利
喪服のジャケットは基本的に葬儀の最中には脱げないため、特に夏場は通気性に優れた夏用の喪服があると快適に過ごせます。可能であれば夏用と冬用の両方をそろえておくことで、季節を問わず対応できます。
また、冬場に喪服の上にコートを羽織る際は黒無地でシンプルなデザインを選ぶことが基本です。
季節ごとの装いにも配慮しながら、マナーを守って快適に過ごせる喪服を選びましょう。
喪服を着る際のマナー
喪服を正しく着用するためには喪服自体のみではなく、身に付ける小物にもマナーを意識する必要があります。
ここからは、喪服を着る際に気を付けたい小物に関するマナーをご紹介します。
革製のバッグや毛皮素材を持って行かない
葬儀の場では革や毛皮など動物素材を使用したアイテムは避けるべきとされています。これは、殺生を連想させるためです。
男性の場合はバッグを持たないのが一般的です。香典や数珠などはジャケットの内ポケットに収めるようにします。靴やベルトは革製でも差し支えありませんが、なるべくシンプルで控えめなものを選ぶことが大切です。
女性の場合はバッグは小さく、布製で飾りのないものが適しています。
アクセサリー類は華美にならないように
葬儀の場では光を反射するようなアクセサリーや宝石類も控えるのがマナーです。
男性の場合、既婚者は結婚指輪のみの着用は許容されますが、未婚の方はアクセサリーを身に付けないのが基本です。ネクタイピンやカフスボタンも不要で、腕時計や眼鏡はできるだけシンプルなものを選びます。
女性の場合、真珠のネックレスを身につけることは、洋装の喪服では一般的なマナーの一つです。ただし、「不幸が重なる」などの印象を避けるために一連のものを選ぶのが望ましいとされています。
露出を避ける
服装の露出についても配慮が必要です。特に女性は胸もとや背中が大きく開いたデザインやノースリーブなど肌の露出が多い服装は避けてください。スカートは膝からふくらはぎにかけての丈を選び、黒のストッキングを着用することが基本です。
袖丈も短すぎないものを選び、腕の露出を控えます。また、足もとにも注意が必要です。サンダルやミュールなどつま先が開いた履物は葬儀の場にはふさわしくありません。
自分に合ったブラックフォーマルを1着持っておこう
突然の訃報は いつ訪れるかわかりません。いざというときに慌てずに対応できるよう、自分に合ったブラックフォーマルを1着用意しておくことをおすすめします。
イオンスタイルオンラインでは さまざまなサイズやデザインの喪服を取り扱っています。体型や好みに合わせて長く着られる1着を探してみてください。
まとめ
葬儀の装いを選ぶときは光沢の有無など、スーツと喪服の違いを正しく理解することが欠かせません。喪服は漆黒で光沢のない生地が基本で着用する方の立場や式の格式に応じた種類があります。
喪服を選ぶ際は体型の変化に対応できるサイズ感や、長時間でも快適な素材、そして通気性や保温性など季節に応じた工夫も重要です。いざというときに慌てないよう、自分に合った喪服を早めに準備しておくと安心です。