この記事のポイント
- フレイルは健康と要介護の中間の状態であり、早期に気付いて対策すれば元の元気な状態に戻せる「可逆性」を持つ
- 身体的・精神的・社会的要因が重なる「フレイルサイクル」を防ぐため、セルフチェックによる早めの状態把握が大切
- 予防には「タンパク質などを意識したバランスの良い食事」「無理のない運動」「社会参加」「お口のケア(オーラルフレイル対策)」をバランス良く実践することが大切
フレイル対策とは?原因・セルフチェック方法と今日から始める予防策
更新日: 2026.9.16
※イメージです。
年齢を重ねるにつれて、「以前より疲れやすくなった」「歩く速度が遅くなった気がする」と感じることはありませんか?
それはもしかすると「フレイル」のサインである可能性があります。フレイルは放置すると要介護状態へ進むリスクがありますが、早めに対策を行なえば元気な状態に戻すことも可能です。
今回はフレイルの原因やセルフチェック方法、今日から実践できる具体的な予防策をご紹介します。いつまでも自分らしく健康的な毎日を送るために、まずはご自身の状態を知ることから始めてみてください。
フレイルとは?健康な状態と要介護状態の「中間」を知る
まずはフレイルとはどのような状態を指すのか、その基本的な特徴についてご紹介します。
フレイルの概要と心身に現れる3つの側面
フレイルは「frailty=弱さ・虚弱」に由来する言葉です。加齢にともない心身の活力やストレスに対する回復力が低下し、「健康な状態」と「要介護状態」の中間の状態ということができます。単に足腰が弱くなるといった身体的な衰えだけでなく、心や社会的なつながりなど、多面的な影響が複雑に絡み合っているのが特徴です。
フレイルの3つの側面と具体的な症状・状態は次のとおりです。
| フレイルの側面 |
具体的な症状・状態 |
| 身体的フレイル |
筋肉量の減少(サルコペニア)、歩行速度の低下、疲れやすさ、食欲不振など |
| 精神・心理的(認知的)フレイル |
抑うつ状態、活動意欲の低下、記憶力や認知機能の低下など |
| 社会的フレイル |
独居や閉じこもり、一人で食事をする孤食、他者や地域社会との関わりの希薄化など |
早期発見・早期介入で元の状態へ戻せる「可逆性」
フレイルの大きな特徴は「可逆性(かぎゃくせい)」を持っている点にあります。要介護状態に近づいているサインではあるものの、早期に気付いて適切な運動や栄養摂取などの対策を取ることで、再び健常で元気な状態へ引き返すことが可能です。しかし、そのまま進行してしまうと元の状態に戻すことが難しくなるため、早めのチェックと予防への取り組みが重要です。
フレイルを引き起こす原因とチェック方法
続いて、フレイルを引き起こす原因と、ご自身で状態を把握するためのセルフチェック方法をご紹介します。
多面的な原因と「フレイルサイクル」の悪循環
フレイルの原因は1つではなく、身体的・精神的・社会的要因が相互に悪影響をおよぼし合うことで進行します。
| フレイルの要因 |
主な原因・きっかけ |
| 身体的要因 |
加齢や運動不足、慢性疾患(糖尿病や心疾患など)、偏った食事による低栄養・タンパク質不足、多剤服用 |
| 精神・心理的要因 |
定年退職や配偶者・友人との死別などのライフイベント、家族の介護問題、自身の病気や体調不良 |
| 社会的要因 |
退職後の外出機会の減少、一人暮らし(独居)、孤食などによる社会的孤立 |
特に注意したいのが社会とのつながりが途絶える「社会的フレイル」がきっかけとなり、運動量の低下や食欲不振を引き起こすケースです。それにより筋肉量が減少し、さらに動きづらくなって自宅に閉じこもるといった負の連鎖(フレイルサイクル)に陥りやすくなります。
ご自身でできるフレイルのセルフチェック
フレイルの状態に当てはまるかどうかは、「日本版CHS基準(J-CHS基準)」をもとにチェックすることが一般的です。
【簡易チェックの目安(J-CHS基準より)】
下記の5項目のうち、3項目以上該当でフレイル、1〜2項目該当でプレフレイル(前段階)と判定されます。
| チェック項目 |
判断の目安 |
| 体重減少 |
6ヵ月で2kg以上の意図しない体重減少がある |
| 筋力低下 |
握力が男性28kg未満、女性18kg未満(ペットボトルのフタが開けにくいなどが目安) |
| 疲労感 |
ここ2週間、わけもなく疲れた感じがする |
| 歩行速度 |
通常の歩行速度が1.0m/秒未満(横断歩道を青信号で渡りきれないなど) |
| 身体活動 |
軽い運動やスポーツを週1回未満しかしていない |
参考:
2020年改定日本版CHS基準(J-CHS基準)
今日から実践できるフレイル対策・予防の「4つの柱」
※イメージです。
フレイルの予防・改善には「栄養(食事)」「運動」「社会参加」の3本柱に「お口のケア」を加えた4つの取り組みをバランス良く実践することが効果的です。
1. バランスの良い食事と栄養補給
高齢期になると食が細くなり、エネルギーやタンパク質が不足する「低栄養」に陥りがちです。それを防ぐためには、筋肉のもととなる肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などをバランス良く摂ることが求められます。また、骨や筋肉の維持に関わるビタミンDや、必須アミノ酸(BCAA:バリン、ロイシン、イソロイシン)も積極的に取り入れたい栄養素です。家族や友人と食事を楽しむ工夫をすると、品数が増えて栄養バランスや食欲の向上にもつながります。
2. 無理なく続けられる効果的な運動習慣
筋肉量を維持し、転倒や骨折を防ぐために日常的な運動習慣を身につけることも、フレイルの予防・改善に役立ちます。下半身を中心に鍛えるスクワット(椅子からの立ち座り動作など)や、片脚立ちバランス運動を低負荷から始めるのがおすすめです。有酸素運動としては、「会話はできるが歌うのは難しい」程度の息づかいでのウォーキングが適しています。階段を使う、遠回りして散歩する、ラジオ体操を行なうなど、日常生活の中で無理なく身体を動かす意識を持つことがポイントです。
3. 社会参加と人とのつながりの維持
人や地域社会と関わりを持つことはフレイル予防の重要な第一歩です。地域のサークル活動やボランティア、介護予防の「通いの場」へ参加してみるとよいでしょう。また、友人や家族と定期的に電話や対面で会話を楽しんだり、散歩や買い物、家事での役割を持ったりして、外出や活動の目的を作ることが大切です。
4. お口の健康を守る「オーラルフレイル」対策
噛む力や飲み込む力が衰える「オーラルフレイル」は、食欲低下や低栄養を招く原因となります。オーラルフレイルを予防するためには、口や舌の動きを滑らかにする「パタカラ体操」や、滑舌を意識した発声、開口訓練などの口のトレーニングが有効です。また、日頃から歯科検診を受け、虫歯や歯周病の治療、義歯の調整を行ない、しっかり噛める口内環境を維持することも大切です。
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まとめ
フレイルとは加齢にともなって心身の機能や社会的なつながりが低下した状態を指します。ただし、早めに気付いて適切な対策を行なえば、再び元気な状態に戻すことができます。
予防のためには「バランスの良い食事」「適度な運動」「社会参加」「お口のケア」の4つの柱を意識し、日々の生活の中で無理なく続けられる工夫を取り入れることが大切です。日々の食生活や運動などの習慣を見直すとともに、食事だけでは偏りがちな栄養を補う手段としてサプリメントや健康食品なども上手に活用しながら、いつまでも自分らしく健康的な生活を目指してみてください。